「相談センター」に相談する目安の変更に対して |
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厚生労働省は新型コロナウイルス感染が疑われる人が「帰国者・接触者相談センター」へ相談し、専門外来を受診する目安を変更し、従来の「37.5℃以上4日間」という体温の目安を削除しました。相談しても「体温が条件にあてはまらないため、PCR検査がうけられなかった人」の中で、軽い風邪症状から急速に悪化する症例が相次いだことが変更の背景にあると思われます。 ただ今回の変更は、逆にいえば、基準があいまいになってしまいました。 要するに「体調が悪ければ、特に高齢者や、基礎疾患のある人は、はやく相談してPCR検査をうけるよう」との意味にとれますが、実際は基準があいまいになった一方で、現在のPCR検査の体制では、相談をうけた人がそのまま全員PCR検査がうけられるとはとても思われません。 また、「高齢者は重症化する」といっても、PCRを優先的にうけさせてもらえる年齢は何歳からなのか、「糖尿病が重症化する基礎疾患である」といわれても、食事療法だけでコントロールできている人と、インスリン注射が必要な人でのリスクは大きな差があると思われます。 重要なことは、急変する症例をはやく診断して、専門医療機関で入院加療ができる体制を早急に作ることであり、そのためには @プライマリケアをするすべての医師が、一人一人の患者さんに対して、検査が必要かどうかを可能な限り判断すること(実際はこれが一番難しいのですが) Aその判断に基づいてPCRをすみやかに施行できる体制を整えてもらうこと B状態が変化した患者さんを、速やかに入院加療のため受け入れてもらえるよう、保健所ならびに専門医療機関の余力を残すため、周辺の医療機関は負担をできだけかけない努力をすること、が必要と考えられます。 特に、PCR検査は、マスコミが報道しているようなドライブルスルー検査を拡充する前に、「医療機関からの依頼されたPCR検査をすべてうけいれる体制を整える」ことのほうが先決であると思っています。 |
2020年5月10日(日) |
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