コロナ肺炎に対する吸入薬 |
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吸入薬のシクレソニドがコロナウイルス肺炎に有効であったとの報告がなされています。シクレソニド(商品名:オルベスコ)は、喘息に対する吸入薬であり、喘息における気道炎症を改善するにはすぐれた薬剤で、当院でも多くの患者さんに投与しています。従来の風邪などのウイルス性疾患にかかったあと喘息症状が悪化することは、よくみられる減少であり、その場合一時的に吸入ステロイドの量を増量することは日常診療でもしばしばあります。ただ喘息における吸入ステロイドがウイルスを直接破壊したりするデータはいまのところ報告されていません。シクレソニドが他の吸入薬と違うのは、シクレソニドはプロドラックといわれ、肺に薬がはいった時点で活性化されて、効果を発揮する唯一の吸入ステロイドであり、また薬の粒の大きさが非常に小さいため、肺全体に薬がいきわたりやすい特徴を有しています。一部のデータではコロナウイルスに対する直接の抗ウイルス効果も報告はされているようですが、作用機序はわかっていません。 報道がされてから、「従来吸入薬を使用したことのない医療機関からの買い占めがなされている」との報告がありますが、本来は喘息に対する薬であり、コロナウイルスの予防に使用したりする行為は、適性使用の観点からは厳に慎む必要があります |
2020年3月10日(火) |
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